「ロボアドバイザー」、その評価はいかに?
2017/09/29
最近、聞いたり見たりする機会が多くなってきた「ロボアドバイザー」。2009年あたりにアメリカでサービスが開始され、2014年に日本でもサービスが提供されるようになりました。
昨年は、「ロボアド元年」とも言われるくらいに、多くの金融機関で「ロボアド」のサービス提供がはじまりました。
ではその「ロボアド」とはいったいどうものなのか、掘り下げていきたいと思います。
ロボアドバイザーとは?
ロボアドバイザー(ロボアド)とは、AI(人工知能)が資産運用や投資に対してアドバイスをしてくれて、知識や時間など手間が必要とせず、投資が行えるサービスです。
投資の姿勢や運用目的やリスク・リターンなどに関する質問に答えると、AIがポートフォリオを作成、リスク許容度に応じた投資先を決定して自動的に運用する「投資一任型」、資産分配や投資先の提案だけを行う「アドバイス型」があります。
投資先は、主に国内外のETFで、最低投資金額は似たサービスである「ラップ口座」、「ファンドラップ」と比べると非常にお手軽で、10万円でも投資ができて、証券会社によっては1,000円からの投資が行えます。
よく似たサービス「ラップ口座」、「ファンドラップ」
ラップ口座とは、ロボアドのAIが行う部分を金融機関が行うという点です。
証券会社が資産状況や要望など運用方針や資産分配、ポートフォリオの作成、リバランスなどを行い、それに従って預かった資産を運用から管理まですべてを包括的に(ラップ「wrap」とは包むの意味)行う金融商品です。
ラップ口座と、ファンドラップの違いは、最低運用金額です。
ラップ口座は、最低でも「数千万円~数億円」とうい一般個人投資家には、手が出しづらいサービスでした。
それに対して、300万円~から利用できるのがファンドラップです。最近はネット証券が中心にサービスを展開しています。
日本投資顧問業協会によると、ラップ口座の残高は2016年末で6兆円を超えたそうです。
しかしながら、ラップ口座、ファンドラップには多くの方が警鐘を鳴らしています。
ファンドラップでは、契約の報酬・手数料と、投資信託の運用管理費(信託報酬)が加わり、年間で運用資産の2%~3%近いコストがかかると言われています。
仮に、1,000万円をファンドトラップで運用した場合、リスクを取り5%のリターンを取れたとしても、手数料が年2%だとすれば、30万円しか受け取れず、年3%の手数料だとすると、20万円しか受け取れません。
さらに、その年にもし損失が出た場合、リスクは100%投資家が負担しなければならないですし、手数料も取られてしまいます。
ロボアドの弱点
それでは、ファンドラップと「似たようなサービス」に当たるロボアドはどうでしょうか。
SBI証券などでサービスを展開している「WealthNavi(ウェルスナビ)」、「THEO(テオ)」は、投資一任型で手数料が1%(税抜き、ETF経費別)です。
他のロボアドの手数料も概ね1%前後となっています。
たしかにファンドラップと比べて安くはなっていますが、リスクの負担や分配金受け取り時、リバランスなどによって税負担が生じる可能性、金融機関によっては為替リスクも発生します。
また、投資一任型のロボアドは、「NISA」には非対応になっています。
「ロボットが運用する」とはどのようなものなのでしょうか?
投資一任型、アドバイス型ともに、投資方針やリスクなどに関する質問が出題され、その回答に応じてポートフォリオを提示する仕組みですが、まったくもって質問数と選択肢が少なすぎます。
AI(人工知能)といえば、自動運転技術や将棋のAIなどに使われている機械学習やディープラーニングなどを想像する方も多いかと思います。
今回取り上げたロボアドバイザーには、どのようなAIが搭載されているのでしょうか?
まとめ
今回、色々と調べて見たり聞いたりした感想から述べますと、ロボアドでの投資はまだ、様子を見ようと思いました。
しかしながら、「ラップ(wrap)」とはよくいったもので、「ファンドラップにロボット・AIという包みで包んで売り出した」と思えるような金融商品とも感じました。
コストの面からいきますと、本場アメリカでは、既に手数料が0.5%程まで下がっています。それに比べると、日本のコストはまだまだ高いかなという印象です。
しかし、各証券会社がこぞってサービスを展開しているので、これから価格競争が激しくなりそうでもあり、手数料の値下げは大いに考えられると思います。
ロボット・AIの投資判断については、進化を続けている現在さらに良い物になり、より良いサービスになる可能性があると感じました。
今後の動向に注目して見ていきたいです。